およね「えー、夫婦漫才の女房のほうで、およねと申します」
田吾作「その亭主で、田吾作と申します」
およね「私ら、結婚してン10年の老舗の夫婦でございます」
田吾作「店じゃあるまいし、老舗とは言わんやろ」
およね「今はメールで恋を語る時代ですが、私らの若い頃は、糸電話でございました」
田吾作「そんなもん、いとおかしやろ」
およね「それも、遠距離恋愛の糸電話でございました」
田吾作「そんなもん、なんも聞こえんやろ」
およね「もしもーし、ちょっと遠いわよ~は、しょっちゅうでした」
田吾作「糸が切れてたんちゃうの?」
およね「恋文も紙飛行機にして飛ばしてました」
田吾作「そんなもん、宛て先に届く可能性ゼロやろ」
およね「返事は来ませんでした。フラれたオモたよ」
田吾作「いきなり、外人かい」
およね「片想いか思て、肩重かたよ」
田吾作「ただ肩が凝ってたんちゃうか」
およね「ても、諦めなかた。お陰で、こして、結ばれたよ」
田吾作「なんや、わしらのことかい」
およね「糸電話、赤い糸にして、ヨかたよ」
田吾作「……ほんまやなぁ」
およね「幸せかい? 田吾作」
田吾作「ええ、幸せよ。およね」
およね「うちのどこに惚れたん?」
田吾作「……髪の多いとこ」
およね「うちの自慢はジャングルのような髪の量」
田吾作「横井さ~ん!」
およね「ここには隠れてない」
田吾作「小野田さ~ん!」
およね「小野田さんも隠れてないって」
田吾作「ターザ~ン!」
およね「ま、ターザンはいるかもしれんけどな。今、痒いから、アアア~! って雄叫び上げて移動中かも」
田吾作「チータは?」
およね「チータは水前寺に帰省中」
田吾作「ボロは着てても心の錦、どんな花よりキレイだぜ~♪」
およね「放っといとら、いつまででも歌います。まるで、子供のように無心に」
田吾作「若い時ゃ二度ない、ドンとやれ、男なら~♪」
およね「あ、どっこいっ!」
田吾作「人のやれないことをやれ~♪」
およね「人のやれないことって、どんなこと?」
田吾作「例えば、一晩で髪がフサフサになるとかな」
およね「そりゃ、無理や」
田吾作「無理やろな。それより、およね?」
およね「なーに、田吾作」
田吾作「なんで、この漫才が、『もっと激しくパーマン』なんや?」
およね「もっとハゲそうなあんたのハゲにちなんで激しく。うちが、パーマしてるからパーマン。合わせて、『もっと激しくパーマン』やん」
田吾作「なんの脈絡もないな」
およね「人生、脈絡ありゃ、苦もあるさ~♪」
田吾作「……もう、ええわ」