うちの学校の桜の中に、ひとつだけ、咲かない木がある。

私とおんなじ、枯れたその木を写真に収めておこうとそちらへ行く。

「君は私と同類だね、みんなみたいに輝かない子」

悪っぽいセリフではあるが、
ほんとうのこと。

この木は。

ーーこの木だけは私とおんなじ。

「ありがとね、ばいばい」

お世話になったこの木にお礼を言い、背を向ける。

前を向くにも向けない。
顔は1度も上がらず、地面に向かって笑う。