みんなとは駅で待ち合わせしているから、少し早めに家を出て駅へ向かう。

ん……?

あれは……。

壁にもたれながらスマホを見ている伊藤くんを見つけて、急いで駆け寄る。

「伊藤くん!おはよう!」

「磯田さん、おはよう」

「伊藤くん早いね」

「そうかな?」

「うん。だってまだ集合時間の十分前だよ?」

「なら、磯田さんも早いんじゃない?」

「あ、そっか」

それにしても……。

普段は見慣れない伊藤くんの私服をじっと見つめる。

ネズミ色のパーカーに、黒色のスキニーに黒色のサコッシュ。

かっこいい……。

そんな私の視線に気がついたのか、私のことを見つめて来る伊藤くん。

「どうかした?」

「ううん!……伊藤くんの私服かっこいなって思って」

「えっ⁉︎」

あれ……?

伊藤くん、少し顔が赤いような……。

「大丈夫?ちょっと顔が赤いよ?」

「大丈夫!これは、大丈夫……」

「そうなの?」