早く帰らなきゃ。
結局タイミングを逃して、あっちゃんに晩ご飯の相談ができなかったな。
仕方ないから、朝、電車の中で調べたのにしよう……。
そう考えながら歩いてると、急に腕を引かれて。
「わっ……!」
びっくりするのと同じタイミングで、自転車が私のすぐ隣を横切った。
えっ……。
一瞬にして血の気が引くように青ざめて、心拍数が早くなる。
あ、危なかった。
……考えごとに夢中で自転車の存在に全然気づかなかった。
「ちゃんと前見て歩いてる?」
「えっ……光瑠くん!?」
予想もしない人物の姿に驚いて目を見開く。
「ど、どうしてここに?あっちゃんと一緒に帰ったんじゃ……?」
「帰ったよ。途中までな」
「途中?何か忘れ物でもしたの?」
パチパチと瞬きをして光瑠くんからの返事を待つ。