「顔真っ赤。そんなんになるなら入って来なきゃ良かったのに」
「だって……インターホン、鳴ってたから……もしかしたら、急ぎなのかもって……」
そう言ってる間も私の心臓はドキドキと騒がしい。
「陽葵はほんと律儀だね」
フッとゆうくんが笑うんだけど、私はそれどころじゃない。
両手を拘束されて身動きが取れなくて、逃げようにも逃げられない。
ドキドキして心臓が爆発しちゃいそう。
もうダメ。
こんな近くで顔なんて見れないよ。
ちょっとだけ争うように顔を背けた。
「ゆう、くん……手、離して……」
これが私の精一杯の努力。
これ以上どうすれば良いのかわかんないし、もう何が何だかわからなくなってきた。
不意にポタッとゆうくんの髪の毛から雫が落ちてきて。
「んっ……」
冷たくて思わず声が溢れた。