ソファに倒れ込むように座って、両手で顔を覆った。
一瞬だけなのにあの光景が頭から離れない。
忘れろ、忘れろ。
ゆうくんはお兄ちゃんなんだ……!
そう思えば思うほど心臓が加速していく。
お風呂越しに話す声とか
大人になったゆうくんとか
知らないことだらけで……。
男の人だけど、
「お兄ちゃんなんだよぉ……」
自分自身に言い聞かせるようにそう呟いた。
じゃないと、ドキドキしすぎておかしくなっちゃいそうだから。
「ひゃあっ……!?」
両手で顔を覆っていたのに、それを退けるように両手首を掴まれた。
一瞬にして私の顔があらわになる。
すぐ目の前にあるのは
……──ゆうくんの整った顔。
濡れたままの髪の毛は、どこからどう見ても大人の色気が漂っている。