「これあげる。さっき福引で当てたのだけど」
そう言って渡されたのは線香花火だった。
それをギュッと握らされて。
「え……?」
「陽葵ちゃん無理やり連れてきちゃったから、祐介が来る前に逃げないと怒られちゃいそうだから」
ニッコリ微笑んだアツミさんはもう1度謝って、慌てて走り出す。
「嫌な気持ちにさせたお詫び!2人でやりな〜」
そう叫んで大きく手を振ったアツミさんは、背を向けて少し行った所の角を曲がってしまった。
「くそっ、逃げられた」
「わあっ!?ゆうくん!」
いつの間にか隣にゆうくんがいて。
しかも息を切らしてて、額から汗が流れてる。
どうやら荷物を持ったまま走ってきたみたいで。
「何もされなかった?」
「え?あ、うん……大丈夫」