俺ばっかドキドキさせられてんのは(しゃく)だ。

そんなことを思ったりして。


寝ぼけた状態で無意識と言えど、ズルいよなぁ。



望み通り陽葵から離れ、身体を持ち上げて起き上がらせた。


顔を赤くして、恥ずかしがる陽葵は一切俺と目を合わせない。


それでも俺は目を離さずにいると、陽葵は顔を手で隠した。


「も、ゆうくん……やだ」


何だよ、それ。

そんな状態でも可愛いんだもんな。


何やっても可愛い。



でも、ごめんな。

ちょっとだけ……イジワルする。



俺だけドキドキするのは(しゃく)だから、やっぱり陽葵にもドキドキしてほしい。


陽葵の手を取り、強制的に顔を隠せなくした。

潤んだ瞳を真っ直ぐ見つめると徐々に耳まで赤くなっていく。



ゆっくり陽葵に近付いて、唇が触れるまで後数センチ。


その距離で動きを止めてみる。