ここ最近、陽葵の元気が無い。
笑ってるんだけど、心ここに有らずって感じで上の空。
……何か悩んでんのかな?
裏の方にある休憩スペースに移動して、パイプ椅子に深く腰を掛けた。
【休憩に入ったら教えて】
そう入っていたメッセージ。
ただそれだけで、怒ってるのか、急ぎなのか何もわからない。
そもそも情報が無さすぎて何の用なのかすらわからない。
はぁ……。
何だよ。蓮のやつ。
厨房を通って店内にいる蓮の元に行く。
ずっと俺を待っていたのか、皿は空っぽで、グラスの中の水をチマチマ飲んでいた。
「何?」
「お、休憩入った?」
「うん。で、何の用事?」
「そんな急かすなって」
ヘラッと笑う様子からして、ただ話したかっただけ……とか?
「てか、やっぱ陽葵ちゃんのこと目付けてたね」
「……蓮がいるからって安心してたのに、気付いたらいなくなってたんだもんな」
「あれは悪かったって。だから言われた通りちゃんと家まで送り届けたよ」
グラスの中の氷がカランと音を鳴らす。
「ん……あの後、あの人上がる予定だったから」
「そっか」
グラスを置いた蓮の目が、真っ直ぐ俺を捉える。