「やっぱ目付けれたかぁ……」
「連れ出したのは俺だから、ちゃんと家まで送るよ」って蓮くんに言われて、帰路を2人で歩いている。
「ん?何か言った?」
「ううん。何にも」
今はセミの鳴き声に感謝してる。
だって、何話したらいいのかわかんないんだもん。
「電話の相手が陽葵ちゃんだったらよかったのにな」
今度ははっきり聞こえた。
意味がよくわからなかったけど。
「蓮くん誰かと喧嘩してるの?」
「え?何で?」
「電話、出るとき……すっごい顔してた」
「あ、あー……」
そう言った蓮くんは視線を逸らした。
「あれ、元カノ」
「えっ!?」
ドキッとした。
タイミング、よすぎるよ……。
ゆうくんとアツミさんで考えてしまって。
やっぱり……“元カノ”は好きな人を忘れられない存在なんだ……。