「ごめん、ちょっと処理してくる」

「え、あ……」


黒いオーラをまとった笑顔のまま、蓮くんは私の返事を聞かないまま席を立った。



別に止めるわけじゃなかったけど、“処理”って……なんだか、ゴミとか、嫌なものでも扱うみたいな言い方だったなぁ。


って、考えすぎか。



ストローをくわえ、りんごジュースを飲んでると、ふと私の隣で誰かが立ち止まった気がして。


「あ」って言う声に顔を上げると、トイレまで案内してくれた人がいた。


わっ。


えと……。


とりあえずペコリと頭を下げたんだけど、知らない人にプチパニックになった私は、あの一瞬で目を左右に泳がせてしまった。

自分でも恥ずかしくなるくらいに。



「ここに座ってたんだ?」

コクンと小さく頷いた。