その時にチラッと見えた片耳に、ピアスが2つも付いてて。
きっと派手めな人なんだろうなぁ、なんて考えながらトイレのドアを開けた。
* * *
トイレの個室で大きなため息が溢れる。
事故だったとしても、2人がくっついてるの見るの……嫌だったなぁ。
ゆうくんは優しいから、あーゆう風に支えてあげるのは当たりまえで。
お互い名前で呼んでるとか。
同じバイトだとか。
2人は愛し合ってた、とか。
……そういうの、全部嫌で。
「はぁぁ」
そう思う私って性格悪い。
だけど、あんな美人を見ると……どうしようもないくらい不安で。
もし、アツミさんがゆうくんを好きだったら……。
そんな事ばかり何度も考えちゃって。
アツミさんが本気を出したら、私なんて敵いっこない。