2人分の注文を終えると、女の人はすぐに厨房の方に向かった。
「ごめん、陽葵ちゃん」
蓮くんの言葉に私は何も言わず、ただただ頭を横に振った。
「さっきの人……祐介の元カノなんだ」
そう聞こえたかと思うとドキッと心臓が跳ねる。
ゆうくんの……元、カノ。
さっきのあの人の口振りからなんとなくそんな気がしてた。
「って言っても別れてだいぶ経つから」
ハハッと笑う蓮くんはどこかぎこちなくて。
あ……。
無理に笑わせてる。
そう思うような笑顔だった。
「ただ、バイト先の祐介を陽葵ちゃんに見せたくて……」
いつものハイテンションの蓮くんはどこにもいなくて。
ダメダメ。
私のバカ……!!
こんなに暗くなってたら蓮くんも困っちゃう。