「違うの。ゆうくん、悲しそうな顔してたから……」
涙が溢れそうになったところで、ムニッと頬をつままれた。
痛くない程度の力で。
「陽葵は優しいね。でも俺なんかのためにそんな顔する必要ないよ」
「じゃあ、ゆうくんも……!」
ゆうくんと同じように、私もゆうくんの両頬をつまんだ。
「ゆうくんがそんな顔すると私も悲しくなるから……。私、ゆうくんにされて嫌だったこと1回もないよ」
昔からずっとそう。
ゆうくんは優しかった。
嫌なことあったら、ゆうくんのことこんなに好きじゃない。
「ふっ、」
急にゆうくんがクシャッと笑った。
「必死な陽葵、可愛い。俺の真似してる?」
ドキッとした。
ゆうくんが笑っただけで、こんなにも張り詰めていた空気が変わったんだもん。