「暑いから涼しい所がいいよね」
「じゃあ風鈴とかどう?たしかあそこの神社、風鈴が2000個以上掛けられてる風鈴回廊があるって聞いた気がする」
「えっ!行きたいっ!!」
今日はゆうくんのバイトも休みで、どこに出かけようか朝ご飯を食べながら話してる。
あれから熱は下がったんだけど、咳が長引いてしまって完全に治るまで数日かかった。
ご飯を食べるゆうくんの唇に視線を移す。
完全に治りきるまで本当にゆうくんはキスしてこなくて。
風邪が治ったからってまだしてないんだけど……なんか、私の方が物足りなかったり……しなくも無くもないわけで……。
「ん?俺の顔に何か付いてる?」
「え、いやっ……何も、」
恥ずかしくなって、どこを見たらいいのかわからなくなる。
だから一瞬だけ目が泳いだあと、お茶碗に入ってるご飯を見つめたままそれを口に持っていった。