真っ暗で何も見えない。
ただただゆうくん家に帰りたいだけなのに。
走っても走ってもゆうくん家にはたどり着けなくて……むしろ、知らない場所に向かっている。
ゆうくん。ゆうくんっ。
会いたい。
走り続けてると少しずつ明るくなっていく。
ゆうくんの後ろ姿が見えて、私は思いっきり叫んだ。
「ゆうくんっ!!」
私の声に振り返った人は……ゆうくんじゃない。
見えたのは、黒い塊。
黒い塊の“それ”をオバケだと理解するには時間がかからなかった。
気付けば私は走っていた。
“それ”から逃げるように。
まるでスローモーションで再生されているかのように足が遅い。
思うように走れない。
案の定、すぐに捕まってしまって。
途端、オバケに飲み込まれて真っ暗になった。