「はい、あーん」

「えぇ……!?」


すくったお粥を陽葵のもとへ持っていくと、小さい声を出して驚いていた。



「じ、自分で、食べれる……」

恥ずかしがって目を逸らす陽葵。


服着替えらせたのに今更だろ。と、心の中でツッコミを入れて俺は小さく笑った。

そんな恥じらう陽葵を可愛いと思うんだもんな。

ベタ惚れじゃないか。
ほんと、笑えてくる。


「いいから。ほら、あーん」


それでも口を開けない陽葵。

やっぱ恥ずかしいか。


そう思って諦めかけたとき、陽葵がボソリと何かを言った。


「……ん?何て言った?」


未だ視線を逸らしたままの陽葵は、チラッと目線だけを上げた。


「あ、熱いから……ふーふー、して?」


トスッ


心臓に矢でも刺さったのかと思った。


なんだこの可愛さ。

反則にも程がある。