走って寝室に行きキャリーを開ける。
服しか入ってなくて……ポーチ、余分に持ってくるんだった。
がっかり……。
仕方なく財布の中にカギを入れた私。
可愛くないけど無くすよりマシ。
家に帰ったら可愛いの探そ……。
リビングに戻るとゆうくんは玄関に向かって歩いていた。
「もう行くの?」
「うん」
「美味しいご飯作って待ってるね」
ニッコリ微笑むと、ゆうくんは玄関から離れてこっちに向かって歩いてきた。
??
「忘れもの?」
ゆうくんは私の前で止まるとギュッと抱きしめたんだ。
「えっ……?ゆゆゆゆうくん!?」
突然の出来事に心臓がドキドキと騒ぎ立てる。
「俺、幸せ者だなぁ……帰ったら陽葵がご飯作って待ってるなんて。いつもありがとう」
「そ、そんな……当たり前のことやってるだけで……」