さっきまで一緒にテレビを見ていたんだけど、ゆうくんはバイトに行く準備を始めた。
「そうだ、これあげる」
「なぁに?」
両手を出すと手の平にカギが乗せられた。
「……え?」
意図がつかめなくて、服のボタンを止めるゆうくんの顔を見つめる。
「合カギ。今は一緒にいるからいらないかもしれないけど、今度自分の家に帰ったらいつでも遊びにおいで」
「えっ!いいの!?」
「うん。もちろん」
「やったぁ!!えへへ、ありがとうゆうくん」
嬉しくて顔がニヤけてしまう。
えへへ
どうしよう。
ニヤニヤが止まらない。
「そんなカギ1つで喜ぶとか陽葵くらいだよ」
「嬉しいんだも〜ん。あ、無くさないようにキーホルダーつけなきゃ……!」
はっ、
こんな事なら水族館に行ったとき、イルカのキーホルダーも買えばよかった。
失敗しちゃった。