理性が飛ぶ。
いや、飛んだらダメだ。
そんな……欲に塗れて、勢いでしたくない。
陽葵の“初めて”は大事にしたい。
「触って……?」
無理……だって……。
ギリッと握り拳を作って、力を弱める。
「キス、しよっか」
キスだけ。それ以上は死んでもしない。
「おいで」
ゆっくり手を伸ばして陽葵を呼ぶ。
チュッと可愛い音を立てて、陽葵の唇が当たる。
短いキスに満足できるわけもなく。
だけどそれ以上求めることも出来ず……ギュッと陽葵を抱きしめた。
「ゆーくんっ!」
勢いよく顔を上げた陽葵。
その顔はどこか嬉しそうにも見えて。
「ドキドキしてる!?」
「……」
こんなに近ければバレるのは避けられないよな……。
かっこ悪いけど、そんなに目を輝かせていたら嘘を付くわけにもいかない。