「手、どけて……直してあげるから」
「えへへ、お願いしまぁす」
あぁ……もう、ほんと勘弁して。
陽葵の前には酒置かないようにしよ……。
じゃないと俺の理性が危うい。
心からそう誓って、ぐちゃぐちゃになったボタンを1つづつ外していく。
無。無になれ、俺。
何の感情も抱くな。
「ゆーくん」
「ん?どうした?」
頼むから、余計なこと言わないでくれよ……?
「なんだかドキドキしちゃうね」
頬を赤らめて笑うのは、酔っているのか、それとも恥じらっているのか。
はぁ……、と大きいため息をつく。
ほんとこの子は。
「ゆーくんは、ドキドキしない……?」
グッと心臓を掴まれた気がした。
言うなれば、ハートが着いた矢で射抜かれたような。
してるに決まってる。