「陽葵」
優しい声で私の名前を呼ぶゆうくんに、胸がキュンとする。
起き上がると、ドアの前で立っているゆうくんがいた。
「どうした?眠れない?」
そういう風に心配してくれるゆうくんはとても優しくて……だけど、今はその優しさに涙が出そうになる。
だって……寂しいって言ったら絶対一緒にいてくれそうだもん。
私のワガママで迷惑かけちゃうかもしれない。
「……」
そう思うと何も言えなくなって、俯いてしまった。
「どうした?」
気が付くとゆうくんは目の前にいて、私の頭にかかっている布団を下ろし、優しく撫でてくれた。
真っ暗だからか声がより一層優しく聞こえて。
ゆうくんの手に胸がキュウッとなる。
優しく撫でてくれるゆうくんの服をちょっとだけ掴んだ。
「どうした?」
“寂しい”って言葉が言えなくて、また俯く。