部屋から戻ってきたゆうくんは、少し大きめのサーキュレーターを持っていた。
「これで循環させよう」
「できるの??」
「うん。蓮がよく家に泊まりに来るんだけど、よくこれで循環させてたんだ」
ゆうくんは手慣れた感じにサーキュレーターを部屋の前に置き、準備を始めた。
「あいつ暑がりだからさ」
延長コードを持ってきて、サーキュレーターのスイッチを入れる。
すると涼しい風が足元に優しく触れた。
「あ、冷たい!すごいっ」
「だろ?でもこのサーキュレーター蓮のお下がりなんだけどな」
ハハッと苦笑いをするゆうくんが、どこか可愛く思えた。
大事に使ってるんだね。
「陽葵、風呂入ってきなよ」
部屋の窓を閉めていく手が止まった。
「え?」