「で、買うの?」
「え?」
試着室から出るなり、近くで待っていたあっちゃんにそう言われた。
「祐介さん喜ぶんじゃない?」
「うぅ……」
落ち着きなんて取り戻せないくらい、またドキドキしだして。
「か、買う……」
ものすごく小さい声でそう言ったのに、あっちゃんの耳には届いてて……楽しそうに笑ってる。
「新学期が楽しみだ」
「あと、もう1個買いたい」
「もっと大人っぽいの?攻めるね〜」
「違うっ!マネキンが着てたやつ!!」
意地悪なあっちゃんをキッと睨んで、マネキンの近くに並べてある下着を見に行った。
ピンク色の他にも水色や黄色。
淡い色だから全部可愛く見えて。
だけど一目惚れしたピンク色にはどれも叶わなくて、その下着を買うことにした。