「着ててよ」
「え?」
顔を上げると、私の前を歩いていたゆうくんが振り返っていた。
「ワンピースだけだったら無防備すぎて俺が心配。陽葵のそういう可愛い姿、誰にも見せたくない」
「へっ!?」
ゆうくんそういうのサラッと言うから反応に困ってしまう。
だから、
「き、着てるっ……」
日本語おかしかったと思うの。
淡い色のカーデガンの裾を握って、そう言うとゆうくんは目を細めクシャッと笑った。
「ははっ、陽葵のそういう素直なところ可愛いよな」
うぅ……。
前髪を上げてるせいか、今日の笑顔は破壊力が抜群でドキドキせずにはいられない。
もうっ……かっこいいなぁ。
* * *
夏休みで日曜日だからか、家族連れが多く、子供達が館内を走り回っていた。
「にーちゃん!魚!!」
「こっちの方が大きいぞ!」