「陽葵、早く荷物片付けて来なさいよ」
「はーい」
リュックを背負って2階にある自室に向かう。
階段を上がる途中で、
「あ。帽子忘れちゃった」
麦わら帽子を忘れたことに気づく。
あちゃ〜。
どうしよう、麦わら帽子。
熱中症予防の帽子だったし、別に必要ないったら必要ないけど……。
「……」
ゆうくん家に私の麦わら帽子があったら邪魔になるよね。
今度こっちに来るとき持って来てもらお……。
部屋に入って、持ってきた服達をクローゼットの中に片付ける。
「……」
当たり前だけど、ゆうくんのもの1つもないや。
どこか遊びに行ったわけじゃないから思い出の物も無いし、もちろん写真も無い。
「はぁ……」
これなら写真だけでも撮っておくんだったなぁ。
何も無いんだもん。ゆうくんの彼女だっていう実感が薄れていく。
離れてる間不安になっちゃうかも……。