ソッとゆうくんの背中に手を回す。
「あ」と、言う声と共にゆうくんが私から離れた。
「これ以上はダメだ」
「だめ?」
何がダメなの?
パチパチの瞬きをしながらゆうくんの顔を見ると、バツが悪そうに頭を掻いたまま顔を逸らした。
「止まんなくなる」
その言葉に、私の顔はボッと一気に熱を保つ。
「ぅ……あ……ごめん」
「何で」
フッと笑うゆうくんに、またもやドキッとする私がいる。
「いや……なんとなく」
「ほんと陽葵は可愛いよな」
「……」
「その上目遣いとかさ……」
ゆうくんの顔が近付いてきて。
「……っ」
私はゆっくりと目を閉じた。
* * *
お母さんが待ってる車に乗り込んでシートベルトを付ける。
「遅かったじゃない。何してたの?」
ドキッと1度だけ心臓が跳ねた。
「ゆ、ゆうくんと、お別れの挨拶……してた」