悪いけど、光瑠くんを無視して陽葵の顔を覗き込んだ。
「陽葵、どうした?どっか具合悪いのか?」
俺は陽葵の頭を優しく撫でた。
なぁ陽葵……ほんと、どうしたんだよ……?
「妹じゃ……やだよ……」
っ!
誰にも聞こえないような小さい声で呟いた陽葵。
聞き間違い、じゃ……無いよな?
「……」
「……陽葵、帰るか」
「えっ……」
勢いよく顔を上げた陽葵はひどく驚いていた。
俺の服を掴む手が震えてる。
「ご、ごめんなさ……っ」
そんな陽葵の言葉を遮るように抱きしめた。
「良いよ。無理しなくて」
もし、陽葵が俺と同じ気持ちなら、我慢しなくて良いって事か……?
「ごめん、光瑠くん。陽葵体調悪いみたいだから俺達先に帰るって言っといてもらえる?」
「え……?あ、はい」
光瑠くんの返事を聞く前に、陽葵の手を引いて歩き出した。