「で、でも……!」

私の荷物だし、持たせるのはすごく悪い。

それに、

「自分は何も持ってなくて、ゆうくんが全部持っちゃうのは嫌」

「じゃあ、俺がこのリュック持つから陽葵はその紙袋。これで文句無いよな?」

「……」

「虫取り少年みたいな格好して電車に乗りたいの?」

「え、電車に乗るの?」

「うん。ちょっと距離あるからね。どーする?虫取り少年で行く?」

「うっ……」

「はい、決定」


むぅ。有無を言わせないこの選択。

ゆうくん口が上手くなってる。



「ほら。アイス買いに行くよ」

フッと優しく笑って、コンビニに向かって歩き始めたゆうくん。


「あ。待ってよ〜」


その後ろ姿を追いかけて。

「……」

ジーッとゆうくんの背中を見つめた。



いつもこの背中を追いかけてたんだっけ。


ふふ

懐かしいな。