お姉ちゃんは、亮ちゃんがいなくなって吹っ切れたらしく、すっかり立ち直って(それもびっくりするんだけど)大学から新しい恋をして今やその人と結婚している。

 私は、大学に行って人並みの恋愛はしたが、働き出してから時間が合わず、別れた。もう三年が経つ。
 その後は仕事が楽しくて、あまり恋愛に興味がなかった。

 資料を探してきて、午後イチで営業部のフロアへ。

 広いフロアで、一課から二課へ繋がっている。
 間にパーテーションがあるが、打ち合わせコーナーにもなっていて、広いフロアは全体を見渡せるようになっている。

 それがいいのか、悪いのか。
 このフロアにエレベーターから入ると、全て見渡せるのはこちらだけではなく、あちらからも見渡せるということ。

 バラバラと私の周りに人が来る。
 だから、いやなのよ。

 「花崎さん、久しぶりー、この間一課の飲みに誘ったのに当日キャンセルはないぞー。次回は絶対だからな。遅れても来るように。」
 出た。一課の沢渡さん。私の一年上の先輩。なんか知らないけど、しょっちゅう誘われる。
 「……その節は誠にすみませんでした。どうしても仕事で抜けられなくて……。」
 
 後ろに座っている、スーツのイケメンがこちらを見る。
 「沢渡、お前学習しない奴だな。花崎さん、ハッキリ言わないと分からない奴もいるからね。」
 「新田さん。今日もスーツが良くお似合いですね。」

 「花崎さん、僕のスーツもいいでしょ?」
 「……そうですね。沢渡さんはネクタイがお似合いです。」

 「そう?じゃ、来週あたりどう?」
 うーん。沢渡さん。