幼馴染みか……。
 間違ってはいないけど、根本的な解決策にはなってないような……。

 私のもの言いたげな感じを見て取った亮ちゃんは、手を握ると真っ直ぐ見て言い出した。
 「恋仲だということの公表は、もう少し待ってくれ。」

 「うん。もちろん言わないでいいよ。言わなくても大丈夫だよね。」
 「……新田が帰ってきたら相談するよ。あいつを振ったということにするとそれはそれで雫が大変だろう。」

 「……頑張るよ。」
 「何を頑張るんだ?やめてくれ、また倒れる。」
 私を抱き寄せると、背中をさすってくれる。

 「お父さん達に付き合ってること言ったんだってね?」
 「ああ。おじさんにはホント小さい頃お世話になった。息子同然にかわいがって下さった。雫をウチの会社に入れてくれたし、その気持ちが嬉しかったから報告した。喜んで下さったよ。雫を大切にすると約束した。」

 亮ちゃんは、何かいいたげにしてじっとしている。
 「なに?」
 「いや。雫、何か起きても全部俺が守るから、心配しないようにしてくれ。約束して。」

 「……はい。約束します。でも、亮ちゃんも立場があるでしょう。無理はしないでね。」
 「ああ、ありがとう。明日、会社一緒に行こう。それが一番いいかもしれない。」

 「……え?」
 「だから、仲良く登校ならぬ、登社?」

 「ダメだよ。そんなの。人目につくし、……余計。」
 「明日は少し早く行こう。雫も休んでたし仕事たまっているだろう。そうしたら、人も少ないし。どうだ?」

 「うん、わかった。」
 「車で迎えに来る。」

 「え?」
 「この間、納車されたんだ。マンションも決まっているし、今日から入った。」
 早い展開についていけないけど、とりあえず病み上がりだし言うことを聞いておこうと思った。