笑いながら、両手を合わせて謝るふーちゃん横目に見ながら、あの日のことを思い出す。

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その日は、その年の中で一番寒い日だったと思う。

0度よりも低かったから、夜中から雪が降っていて地面が少し凍っていた。

だからなのか、ただ単に入試で緊張していたからなのか、私は試験会場の前で転んでしまったんだ。

周りには人がたくさんいたし、足も擦りむいてしまって泣きたくなった時に桃大くんが助けてくれたんだ。

「大丈夫?立てる?」

そう言って私に手を伸ばしてくれた彼を今でも良く覚えている。