慣れ始めたら早いもので、季節はあっという間に秋になっていた。

授業を聞いて、部活に行って、帰る。
ただそれの繰り返しだ。

私は未だに舞以外に友達と呼べる人ができておらず、クラスの人全員は話せるけどそこまで深い関係でない、という微妙な立ち位置にいた。

別に、それが嫌な訳では無い。
嫌われているわけではないし、いじめられているわけでもないから。

ただ、平穏に毎日を過ごせればそれでよかった。




先生に呼び出されたのはそんな中だった。





「……え、生徒会ですか?」

「ええ、早見さんさえよければなんだけど」




意外なことに、私が生徒会に推薦された。
先生曰く、強制ではないがクラスみんなの総意だということ。

……確実に押し付けられたような気がしなくもない。
早見さんなら真面目そうだし向いているだろうとでも思われたのだろうか。




「…………」

「あ、大丈夫よ。絶対やれって言ってるわけじゃないの。立候補しないかっていうだけで。隣のクラスの子も一人立候補者がいるから」



慌てる先生の様子を見て、つまり立候補者を増やしたいのかと悟った。
あまり乗り気ではなかったが、私は堂々と断れる技術は持ち合わせていない。





「わかりました。やります」





途端に先生の顔は明るくなり、ありがとうと何回も言われた。
先生も大変だなあと思いながら、私は断りきれなかった自分に嫌気がさした。





この時はこの決断が、私の未来を大きく変えるとはまだ思ってもいなかった。