「これは、お願いなんかじゃないわ!命令よ!……やりなさい!」

強く、優しく、美しいその姿は、まるで神話に登場する女神を彷彿とさせた。心ごと凍らされてしまいそうな吹雪の中でも、どれだけ周りに反対されようとも、人の命を救おうとする一花は、誰よりも美しく桜士の目には見える。そして、心が動かされていくのがわかった。

「……僕は、四月一日先生の好きなようにしてほしいです。四月一日先生の血が必要で、四月一日先生が望んでいるのなら、血を輸血してもいいと思います」

桜士がそう言うと、すぐにヨハンが「それで一花が死んでもいいって言うのかよ!?」と睨んでくる。桜士はそれに怯むことなく、言った。

「四月一日先生は、武器を持った人間にも立ち向かっていくような強い人です。おまけにeagleに所属しているなら、それは四月一日先生が強いという証拠です。僕は、その強さを信じます」

「本田先生……」

桜士の言葉に一花は驚いた顔をする。だが、それはすぐに真剣なものに戻った。一花はクラウディオたちに向き合う。