事故などで大量出血をした際、当然輸血が必要になる。その際、A型の人間にはA型の血液を輸血しなければならない。例えば、A型の人間にB型の血液を輸血してしまうと、その人の持っている抗体が赤血球を破壊し、命を落としてしまう。そのため、輸血をする際は血液型を間違えてはならないのだ。

しかし、RH nullの場合はどんな血液型の人間にも輸血をすることが可能である。RH抗原を持たないためである。だが、この血液型は全人類の一%しかおらず、世界で確認されているのは四十人ほどしかいない貴重な血なのだ。

「でもRH nullなら、光くんを助けられますね」

「そのために、一花が命の危険に晒されるかもしれないんだぞ!!」

ヨハンが言い、クラウディオたちが暗い顔をする。ここは病院ではない。そして、一花は貴重な血液の持ち主だ。抜いた分の血を補うことができない。

「それでも、私が血をあげないと、光くんは確実に命を落とすわ!私は医師として、この子を見殺しにできない!みんなも同じでしょう!?」