ヨハンの言葉に桜士たちは「了解」と言い、オペが始まった。光の体にアルコールをかけ、オリバーが手渡したメスでヨハンは体を開いていく。

これから行うのは、肺に刺さった肋骨を取り出し、肺にできた傷を縫うというものだ。幼い体にかかる負担は凄まじいものである。

「肋骨を今から外していくぞ」

ヨハンが言い、桜士と一花とオリバーは頷く。傍にいるクラウディオたちも緊張した面持ちで手術の様子を見守っていた。

肋骨を器具を使って一つずつヨハンは外していき、消毒済みのトレイを桜士は差し出す。その時だった。

「出血が酷い……」

一花が呟く。肺にできた傷から、血がどんどん溢れていた。桜士も口を開く。

「これは、輸血をしないと危険です!」

「朱莉ちゃん、光くんの血液型は何型かわかる?」

アルオチが毛布を頭から被った朱莉に訊ねる。朱莉は小さな声で言った。

「B型」

「僕、B型だよ!」

「私もB型です!」

クラウディオとナタリアが素早く手を上げる。二人もB型がいるのなら、輸血用の血液を確保できるだろう。そう全員が安心した矢先、朱莉が再び口を開く。

「B型のRなんとかがマイナーだって言ってた」