桜士の指差した先には、古びた小屋があった。今は恐らく使われていないのだろう。蜘蛛の巣が張られ、屋根や壁はボロボロだ。

「ボロボロだけど、あそこでやるしかなさそうだな!」

ヨハンがそう言い、ストレッチャーを組み立てていく。その間に桜士たちは光の体の下に毛布を入れた。

「一、ニ、三!!」

掛け声をし、光をストレッチャーの上に乗せる。そして、桜士たちは小屋まで光を駆け足で運んでいく。雪が降り始め、風も強くなってきた。だが、足を止めることは許されない。

古びた小屋のテーブルをアルオチが素早く消毒し、その上に光を寝かせる。モニカが光の服を切り、ナタリアが心電図モニターをつけ、アルフレッドが麻酔を投与し、酸素マスクをつける。

桜士、一花、ヨハン、オリバーは手術専用のガウンに着替え、テーブルの上には手術をするための器具が並べられる。

「執刀医は小児外科医の俺がやる。一花と本田は俺の補助、オリバーは機械出しを頼む」