二人を探し始めて数十分、スキー場のかなり奥まで桜士たちは進んでいた。

「こんな奥まで子ども二人で来たなんて、信じられないね」

リティクがそう言い、木の枝を避ける。上級者コースも通り過ぎてしまったここは、手入れが全くされておらず、障害物となる木の枝や岩がたくさんある。

「あっ、サインあったーーー」

アルオチが一本の木を指差したものの、その表情が強張る。その木には、朱莉のサインしか掘られていなかった。そして、木には誰かの血がベッタリとついている。

「ここで木にぶつかって、下に転落したのか!!」

木の左側は斜面になっており、そこには何者かが落ちていった痕跡が残っていた。桜士が斜面を覗き込むと、そこには血の跡がある。

「出血の量からして、かなり危険です!!早く探して処置をしないと!!」

一花がそう言い、迷うことなく斜面を降りていく。クラウディオたちも斜面を降りていき、桜士もスピードを出しながら降りていく。すると、斜面の下で泣きじゃくる少女を見つけた。そのそばには、血を流しながらぐったりとしている少年がいる。