「もしかして、もっと遠くへ行ったんじゃないか?ここの先には上級者向けのコースがあったはず」

アルフレッドがそう言うと、「二人に何かあったら……!」と先生が頭を抱える。だが、二人がどこへ行ったのか、足跡が雪で消えてしまってため、闇雲に探すわけにはいかない。

「でも早く見つけないと、吹雪になったら低体温症を起こす危険性がある……。警察に連絡しよう!」

オリバーが真剣な顔でそう言い、桜士も医師免許を持つ者として一刻も早く捜索してもらうべきだと判断した。低体温症を起こした場合、体力がそれほどない子どもは命を落とすリスクが高い。

「でも、吹雪の中、捜索なんてしてくれるの?」

アルオチが不安そうに言う。だがすぐにヨハンが「仕方ないだろ、どこにいるか俺たちじゃわからないし」と返した。

だがその時、みんなより遅れてやって来た十が、近くにある木に手をついた時、「何だこれ?」と口に出す。桜士が十の方を向くと、木に二つ絵が彫られていた。