リティクの言葉に全員が空を見上げる。少し前まで晴れていたはずの空は、分厚い雲に覆われ、辺りは薄暗くなっていた。すると、小学生たちの引率をしているであろう男性がやって来る。

「君たち、こんなところにいたのか！早くホテルに帰るぞ！これから吹雪になるらしいからな！」

「は〜い」

どこか不満そうに、しかし吹雪になるから仕方ないといった様子で小学生たちは友達に声をかけ、帰る支度を始める。その時、一人が「あれ？光（ひかる）と朱莉（あかり）いないよ」と言う。その言葉に、先生は焦ったように生徒たちに目を向けた。その顔はどんどん青ざめていく。

「本当だ……いない……」

「ッ！近くにいるかどうか探そう！！」

クラウディオがそう言い、走り出す。その後に一花が続き、桜士も後に続いた。

「光く〜ん！！朱莉ちゃ〜ん！！」

全員で声を出して呼んでみるものの、その声はただ虚しく消えていくだけで、子どもの無邪気な返事は返ってこない。