「やった〜!こんなにも滑れるようになった!」

「少し前に教えてくれた先生のお話、あんまりわかんなかったんだ」

そう言いながら子どもたちは雪道を滑っていく。その動きは、先ほど二人がロープウェイから見た時よりもよくなっていた。

「子どもの吸収力って凄まじいですね……」

ゼエハアと十は息を吐きながら言う。小学生たちは元気に滑っていくものの、十は体力があるはずなのだが、息を切らしている。

「雨宮は肩の力をもう少し抜け。あとへっぴり腰もなんとかしろ」

「はい……」

桜士がそう言いながら十の腰を叩くと、「うおっ!?」と情けない声を上げ、それを見ていた子どもたちがクスクスと笑う。

その時、ふと視線を桜士は感じ、振り返る。そこにはクラウディオたちがいた。ニコニコと微笑みながらこちらを見ている。

「本田先生、おはようございます。スキーお上手なんですね」

一花がひょこりと顔を出し、フニャリと笑う。その顔に桜士が癒されていると、「おい、さっさと滑ろうぜ」とヨハンが一花の肩を掴む。