「……わたくし、あんなに貴女に嫌なことをしたのに、許してくれるの……?」
「はい、ちゃんとやり返しましたから」
「ふふ……ありがとう。わたくし、やり直したいわ。貴女の……ラティシア様のもとで」

 エルビーナ様は涙に濡れながらも、あどけなさの残る笑顔を浮かべた。今まで見た中で一番素敵なエルビーナ様の笑顔だと思った。

「ラティシア様。さすがでございます」

 遠巻きにしていた群衆から凛とした女性が歩み寄ってきていた。

「ルノルマン公爵! こちらにいらしてたのですね」
「ええ、今日は所用がございましたので。ですが、いいものを見させていただきました。ふむ、それなりに貴族も集まっておりますね。よろしいでしょう」

 周りを見渡すと騎士ばかりだったはずが、この騒ぎで王城に来ていた貴族たちも集まっている。これではフィル様の腹黒もあっという間に知れ渡るだろう。そうなったとしても、フィル様はなにも困らないと思うけれど。

「ラティシア様の判定結果をここで発表いたします!」