『--年』は一瞬で。
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私、
あなたの為なら死んだっていい───。
そう思える日がこんなにも早く訪れるなんて。
“その世界”にあるひとつの画面。
その画面の中にあなたを見つけた瞬間、その
輝かしい笑顔を横に立って見てみたい、
そんな衝動に駆られた。
そして私は手を合わせ、命をも捨てていい
覚悟で、強く、強く、祈り願った。
辺りが、黄金の霧と風に包まれていく───。
表情の無い私に、色々な“顔”を教えてくれた
のは、あなたでした───。
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沈黙の中、辺りには
ピ………ピ………ピ………
という、不気味な音が鳴り響いている。
その場から逃げ出してしまいたい気持ちを抑えて、絶
対に落とすまいと震える手に力を入れる。
その掌の上には、十枚を優に超える紙があった。
その紙は、ワスレナグサの柄の可愛らしい封筒に入れ
られていた。
初めに綴られている一文。
『────── 。』
その一文から、涙を流さずにはいられない、
この物語の真実が明かされるのだ───。