と思いながら息を吐いた時、如月くんがふっと笑うのが見えた。



「なんかあっても、ちゃんと俺が守るから」

「……とか言いながら一人でダッシュして逃げそう」

「おいコラ、また俺のキメ顔はスルーかよ」


「ふふっ……ごめん。 でも、逃げるなら ちゃんと一緒に逃げてね?」

「当たり前だろ」



どこか呆れたような顔で、小さく息を吐く。

そのあと如月くんは、私の頭を一回だけポンと叩いた。



「よし、元気出して行こう」

「うん」



前に座ってるみんなが立ち上がったのに合わせ、私たちも立ち上がる。

残ってるのは、私たちを含めてあと三班となった。

長い長い待ち時間を経て、やっとここまで来た。


二つ前の班が出発し……その一分後に、一つ前の班が出発する。

そして、さらに一分後。



「よーし、じゃあ最後の班。 気をつけて進めよー」



と明るく言う先生に見送られ、私たち六人の夜の散策がスタートした。



──……遊歩道には等間隔で外灯が設置してあるから 思ってたよりも明るいし、一本道だから迷うこともない。

一分前に出発した前の班の人たちの姿も目視することが出来る。

事前に色々と怖い噂を聞いてたけど、パッと見では“何か”が居るわけではない。

これなら問題なく進んでいけそうだ。



「思ったより明るいな」

「うん、変な気配も全然しないから大丈夫だよ」

「そっか」



と、如月くんと話しながら歩いていく。

歩くスピードは、いつもよりも気持ち早め…というくらいで、他のみんなもそう。

競歩のようにほぼ走ってるというような状態ではなく、食後の運動にちょうどいいスピードだ。