でも……逃げちゃ、ダメだよね。

どんな結果になろうとも、ちゃんと受け止めなきゃダメだ。

もしも私が「アプリを開かない」ということを選択してしまったら、それこそ完全に……すべてが終わってしまうから。


もう元通りにはならないけれど、それでも私は……先輩と一緒に居たい。

心霊現象 研究同好会で、一緒に過ごしたい。

先輩に拒否されたら、もう離れるしかないけどね……。






「諏訪、大丈夫か?」



と、如月くんが静かに声をかけてきた。

ずっと無言のまま下を向いていたから、心配してくれたみたい。

そんな如月くんに微笑みを返して……首を小さく縦に振る。



「……大丈夫、心配かけてごめんね」

「ん」



色々と、私に言いたいことはあるだろうけど……それでも如月くんは深く追求してこない。

周りにみんなが居るし、他の班の人たちもまだ近くに居るから…黙っててくれてるんだと思う。

みんなに余計な心配をかけないように。

そして他の班の人たちに、私の力に関することがバレないように、って。



「……色々、ありがとう」

「なんのことかわかんないけど、どういたしまして」



そんな風にやり取りをしながら、二人で微笑み合う。

如月くんが隣に居てよかった。

一人で色々考えてると、どんどん気持ちが落ちていっちゃってたけど……喋ってたら少し落ち着いた気がする。

……本当に、ありがたい存在だ。



「さてと。 ようやく順番が近づいてきたな」



前方に視線を向けると、残りはあと……五班くらいだろうか?

気づいたら、もうだいぶ進んでたみたい。

それでもまだ数分は待たなきゃいけないけど……。