「――で?何があったの?」
「実は…」


私は桃ちゃんに、練習試合で蒼永の中学時代の友人・紫帆ちゃんとひょんなことから仲良くなったことを話した。
紫帆ちゃんはとてもいい子だ。
何よりあの蒼永が友達になるくらいなんだから。


「でも、私紫帆ちゃんにその…ヤキモチ妬いてたみたいで…」
「ほほう?」
「紫帆ちゃんは、私の知らない蒼永を知ってるのかなって思ったら…なんかすっごくモヤモヤしたの。
でも、それって紫帆ちゃんにすごく失礼だよね…」
「なんで?」
「だ、だって…っ」


紫帆ちゃんは友達として蒼永と仲良くしてくれてるのに。
昔から蒼永は私以外の人と仲良くする気がなくて、友達と言えるのが桃ちゃんと大志くんくらいしかいなくて、私はずっと他の人とも関わったらいいのにって思ってた。
それなのに、いざ友達がいたとわかったらヤキモチ妬くなんて…勝手すぎるし失礼すぎる。

紫帆ちゃんがいい子だからこそ、申し訳なく思う気持ちが強い。


「なんかもう、自己嫌悪に苛まれて…誰かに聞いて欲しかったというわけなんです…」
「ふーーーん」
「桃ちゃんなんか冷たくない!?」
「いや、成長したなと思ったけどやっぱりズレてるのが咲玖だなと思っただけよ」
「ズレてるの?」
「そもそもヤキモチ妬くってことは、九竜が好きだって自覚したの?」