* * *


「白凪さんっ!フライパン焦がしてる!」

「はっ!すみません…!!」


翌日の学校はとにかく色んなものに集中できなかった。
授業中も上の空だし、調理部でもこの通り焦がしちゃうし。

ダメダメだ、私…。
なんでこんな…、全部蒼永のせいだよ……。

蒼永が帰ってきてから、ドキドキすることばっかで…紫帆ちゃんとのことはモヤモヤするし、なんか私蒼永に振り回されすぎじゃない?

段々腹立ってきたな……。


「――えっ、それってヤキモチじゃん!」


突如別のテーブルから聞こえた声に、思わず反応してしまった。
別テーブルで調理している先輩たちの声だ。
盗み聞きは良くないと思いつつ、気になった私はつい聞き耳を立ててしまう。


「そうなのかなぁ?」
「絶対そうだよ!他の男子と一緒にいるのめっちゃ気にするとか、絶対ヤキモチ妬いてるんだって!」


ヤキモチか……。


「でも、ただの友達だよ?」
「そんなのわかんないじゃん、向こうは気があるかもしれないよ?自分の彼女がそんな男と仲良くしてたら、彼氏は絶対嫌でしょ」
「そっかぁ」


その時、何だか私の中でストンと落ちた。

そうだ、私も蒼永と紫帆ちゃんが仲良くしてるのが嫌だなって思ってた。
女の子とあんな風に気兼ねなく喋っているところを見たことがなかったから。

離れていた留学時代のこと、私の知らない蒼永を知っていることが嫌だって思ったんだ。