慌ててメイク落としシートを引っ張り出す。
蒼永はスマホの画面でマジマジと頬を見ていた。
「なんかエロいね」
「やめて!!わざとじゃないからっ!」
なんかもう二重に恥ずかしい…。
とにかくこの恥ずかしすぎる痕跡を早く消したくて、メイク落としシートで拭い取った。
「このままでも良かったのに」
「よくない!!とにかく…っ、これでいいでしょ!?」
約束は果たした!!
別にどこにキスするとかは言ってないしね…っ!!
「ま、いっか」
――ほっ…。
もう、私もリップ落とそう…。しばらくは思い出しちゃうから、赤リップは付けられないな…。
「咲玖、」
「へっ」
――ちゅっ。
「っ!?!?」
「次は口にして」
「〜〜……っっ」
む…、むりぃーーーーー!!!!!
左頬にキスされて、至近距離でそんなこと言われて…、キャパを超えた私はその後の記憶がない。
とにかく、いつのまにかベッドに入っていた記憶しかない。
なんかもう心臓もたない……っ!!