なんか自分が嫌になるな…。
紫帆ちゃんのことは好きなのに、どうしてモヤモヤするんだろう……。


「ただいま〜…」
「おかえり」


帰宅した途端、ムッとした蒼永が出迎えた。


「どこ行ってたの?」
「紫帆ちゃんと遊んでた」
「天野と?なんで?」
「色々あって…?」
「ふーーん…」


なんで蒼永、そんなに不機嫌な顔してるんだろう…。


「な、何かあった…?」
「咲玖が全然ご褒美くれないから」
「!!」


そ、そうだった…!!
練習試合の後は何だかんだ疲れて蒼永もすぐ寝ちゃったし、その翌日は実家に帰ってたし!

完全に忘れてた…っ!


「あ、えっと…」
「俺頑張ったのに…」


〜…っ、むくれてる表情がかわいいとか思っちゃったじゃないか!!
とか言ってる場合ではないっ!


「……あの、あれってやっぱり本気だよね?」
「うん。キス」


うわああああああああ!!


「俺からしてもいい?」
「いやっ!!私がします!!」


そっちの方が心臓に悪い!!
ああ、でもこれで後に引けなくなってしまった…。


「じゃあお願いします」


蒼永は目を瞑る。
今!?今ここでしろってことなの!?