柊生は目を見開き、花を見据える。

涙がでいっぱいの大きく澄んだ瞳を、不覚にも綺麗だと、見惚れてしまう。

「私、柊君が好き…
ここで、始めて、柊君を見た時から…ずっと……柊君が……好き…。」
ヒックヒックと泣き続けながら、それでも必死に柊生へ健気に思いをぶつけてくる。

信じられないものを見るような気持ちで、柊生はしばらく言葉を失う。

頭で警告音が鳴り出す。
これ以上花に近付いてはいけないと、花を妹に戻さなければと、頭では思うのに…

体は勝手に花を抱き上げ和室に戻し、抱きしめてしまう。

「花、好きだ。………愛してる。」
花はびっくりして涙が止まる。

えっ⁉︎どう言う事?
私の事を?

……アイシテル……?

ハッとする。

「だ、ダメだよ……柊君には彼女がいるでしょ…。」

慌てて柊生の胸を押し離れようとするのに、柊生の力には勝てる訳もなく離れられない。

「彼女なんて、いない…。
花への思いを自覚してから…ずっと…。」

えっ…?
どう言う事…?
いつから……⁉︎

「…知らなかった……。」
たまらず柊生を仰ぎ見る。

柊生の熱く光を宿した強い眼差しに吸い込まれそうになる。

それはまるで、的を射る時の強い眼差しで。

それとは対照的なほど、そっと優しく唇が重なる。

……何度も何度も角度を変えて、
降り注ぐ柊生の熱い思いを受け止める仕方も分からず、花はなすがままに身を委ねる。

息を吸うタイミングも分からない…息が上がる。

花はたまらず、酸素を求めて無意識に口を軽く開ける。

そこにすかさず柊生の舌が潜り込む。

「……あっ……ん……。」

どうしていいか分からずされるがまま…お腹の奥が切なくて、ぎゅっとする。

ドキドキと、パニックと、痺れる唇と、

頬に触れる熱い手と…

立っていられなくて力が抜けそうになる。

柊生かすかさず抱き止める。

やっと離れた唇が酸素を求め、息が乱れる。